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研究の扉 研究の扉 女性の『心』研究を巡るミニ講座

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母は、下着についての何を娘へ伝えようとしていたのでしょうか

母は、幼少期から思春期を迎えた娘と一緒に下着を見たり選んだりする中でどのような会話を交し、下着についての何を伝えようとしていたのかを探っていきます。また、娘の幼少期から思春期に下着を一緒に買う機会の多かった母娘にみられる特徴についてもご紹介します。

幼少期から思春期の娘とよく一緒に下着を買いに行っていた母親は、4割近く

グラフ63 娘の幼少期から思春期における、娘との下着購入経験の有無
グラフ63 娘の幼少期から思春期における、娘との下着購入経験の有無
※本項の設問: あなたは最近、娘さんと一緒に下着を購入することがありますか。下記の選択肢から1つ選んでください。(単一回答)

今回は、娘の幼少期から思春期に、母娘が一緒に下着を購入していたかどうかに着目して、母娘の間で交わされる下着についてのコミュニケーションをみていきます。【本調査は、首都圏(東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県)にお住まいで、高校生以上の娘をお持ちの40歳から74歳の女性約1,200名を対象にしています。40代の8割以上に15〜19歳の娘がいて、ほぼ同居をしています。また50代は約7割の人に20代の娘がいて、7割強が同居をしています。】

では娘の幼少期から思春期に、一緒に下着を買いに行っていた母はどのくらいいたのでしょうか。
グラフ63をご覧ください。「よく一緒に購入することがあった」は36.1%、「たまに一緒に購入することがあった」は32.6%となっています。40代は半数強が、50代は4割近くがよく一緒に購入していたと回答しています。一方で、60代は2割強が「一緒に購入することはなく、私が買って、娘に与えていた」と回答しており、娘の幼少期から思春期における下着の購入は、母の年代によって大きく異なることが明らかです。

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母は、幼少期から思春期の娘へ「からだの成長」や「下着購入時のポイント」を伝授

グラフ64 母親の老後に対して行ったことは、「話を聞くようにする」がトップ
グラフ64 娘の幼少期から思春期における、下着に関する会話やコミュニケーション
※本項の設問 : 娘さんの幼少期から思春期において、あなたが行っていた下着に関する会話やコミュニケーションについて、あてはまるものを下記の中からいくつでもお選びください。
        回答のあったパーセンテージを、ポイントの高い順にグラフに表記した。

では、幼少期から思春期の頃の娘との間で、下着についてどのような会話やコミュニケーションが交わされていたのでしょうか。グラフ64をご覧ください。27項目の中から、あてはまるものを選んでもらった結果、トップには「思春期は人によってからだの成長に差があることを教えていた」があがり、以下「何歳からブラジャーを身につけたらいいか教えていた」「清潔な下着を身につけているかチェックしていた」が続いています。

「よく一緒に下着を購入することがあった」母娘に着目してみると、「ブラジャーのつけ方」「サイズの計測や試着の大切さ」についても会話の中で頻繁にやりとりし、互いの下着の好みについての意見交換も活発なようです。また、母は「娘の体型変化」や「清潔な下着を着用しているか、透けて見えていないかなど、娘の下着の身だしなみ」にも細かく目を配っている様子が見てとれます。女性としての成長を見せ始めた娘と一緒に下着を選びながら、先輩のひとりとして自らの体験を伝えようと様々なコミュニケーションをはかっていたのでしょう。

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下着を通して大事なことを伝えているのは、娘と一緒に下着を買っていた母

グラフ65 母から娘に伝えている、下着に関する行動や考え方
グラフ65 母から娘に伝えている、下着に関する行動や考え方
※本項の設問: 娘さんの幼少期から思春期にかけて、娘さん用の下着の購入について、最も当てはまるものを、下記の選択肢の中から1つ選んでください。(単一回答)

では最後に、下着に対するどのような考え方が母から娘へ伝わっているのかをみていきましょう。 グラフ65にあるように、最も娘に伝わっていると母が感じているのは「下着は常に清潔なものを身に着ける」という点です。以下、「下着は自分のサイズに合ったものを身につける」「下着は着ごこちが大切だ」「下着は洋服に透けないものを身につける」「下着は質のよい素材のものを身につける」が続いています。いずれも女性が下着を選んだり身に着けたりする中では、基本的な考え方であり、母としては娘に理解をしておいてもらいたい項目であると思われます。

下着をよく一緒に購入していた母は、グラフ65で明らかなように、より多くの考え方が娘へ伝わっていると感じているようです。思春期に始まる下着に関するコミュニケーションを通して、母は自分でよいと思った下着の選び方や着用の仕方を徐々に娘へと伝えていきます。娘は年を重ねるにつれて、自身の好みで下着を選ぶようにもなりますが、基本的な価値観は母から伝えられた考え方に基づいて築かれていきます。母から娘へ様々な価値観が受け継がれていく中で、下着の文化も確実に伝達されていくのです。

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共同研究者のコメント
母は娘と一緒に買い物や食事に出かけることに強い幸福感を感じていることは、以前にも報告した通りですが、その一連の活動の中に「下着を一緒に買う」ことも含まれていることが分かりました。特に、40歳代の母親の半数強は、娘が幼少期から思春期の頃に一緒に下着を買いに行っていたと回答しています。身体が変化し、子どもから大人への階段を上るこの時期に、「下着」を通して女性としてのあり方を伝えている様子も分かりました。こうしたコミュニケーションは友達同士では難しく、さらに父親の関与も難しいことを考えると、まさに、母と娘の関係を象徴するものと言えそうです。現代社会において、実の母娘の関係は生涯に渡って継続します。娘は母に新しい文化を紹介し、母は娘に人生の先輩として経験をアドバイスします。こうした世代間の交流の中で、身体、ファッション、品性、清潔感、性など複雑なテーマを内包する会話が、下着売り場で展開されているようです。(菅原健介)

【調査概要】

  • 調査名称:母娘の共同行動と母親の心理的幸福感に関する調査
  • 調査対象:首都圏(東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県)にお住まいの40〜74歳の女性
  • サンプル数:1,203
  • 調査方法:インターネット調査
  • 調査時期:2012年9月14日〜16日

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